初恋の向こう側

視線を泳がせていると、何かを拾い上げたヒロが訊いてきた。


「何これ?」

「んー?」


“これ”と示されたその手元を見る。

ベッドの上の袋を手に取って、中身をガサゴソと探りだすヒロ。

見覚えはあるが、俺のじゃない。

それって何だったかな?
さっきそこにはオサが座っていたけど……。


「あ」


と思いだした時にはすでに遅く、ケースからDVDを取り出したヒロがそれを顔の横で振って見せた。


「こういうの普通隠しておかないかな?」


……やっぱり。
オサのヤロー、こんなもん忘れてくなよ。


「『淫乱女教師に乱された僕』って、こういう願望あるの梓真?」

「違うって! それ俺のじゃないしっ」

「じゃあ誰の?」

「オサんだよ! 多分…」

「ふーん。多分ね~」


うわっ、絶対疑われてるし。
頼むってオサムー。

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