初恋の向こう側

そこでヒロは可笑しな提案をしてきた。


「ねぇ、ちょっと観てみよっか?」


得意のズルそうな顔で誘ってくる。


「それはヤバいって!」

「何が?」

「何がって……っていうか別に観たくねーし」

「またまたぁー。そんなこと言って、あたしが帰った後に一人で観る気でしょ?

それともやっぱりホントは梓真のなんじゃないのー?」

「だから違うって!」


言い返してみたが「はいはい、オサムのなんでしょ」なんて軽ーく流して、DVDのパッケージを開けながらヒロがテレビに向かって歩きだす。


「本気で観る気かよ !?」

「いいじゃない。減るもんじゃないんだし」

「ってオヤジかよ !!」


ツッコんでもお構いなしな様子でセットし始める。


「ここで観んなよ? そんな興味あるなら持って帰れよ」

「そんなこと言って、梓真だって全然興味ないわけじゃないでしょ?」

「え。
そ、そりゃあ……ってそんなこといいから誰か来たらどうすんだよ?」


なんてテレビの前でもみ合っていた。

やがてプレイされ、画面に映しだされるオープニング ──

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