RED×HEAVEN
ルイは笑顔で手を振り、歩き去った所で振り返り、もう一度手を振った。



その笑顔に心苦しさが増す。



俺は一度大きく深呼吸をし、黒いパーカーの男に向き直った。



恐らく男には俺の姿は見えないだろうが、念のため少し距離を取って尾行を開始した。



男は一心不乱に女を追いかける。



女は男の存在に気付いている様子で、歩くペースがだんだんと速まっていった。



すでに小走りの域に達している。



男は一定の距離を保ちつつ、前屈みになりながら、女から目を離さないように後を付ける。



傍目から見ても、狂気の臭いを感じた。



歪んだ愛情が増幅され続けて生まれたどす黒い狂気。



こんな男を野放しにしてはいけない。
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