観念世界
red
『red』
気がつけばここに居た。
部屋、だろうか。見渡す限り白い。一点の陰りもなく全てが白く、自分の肉体すらそこに溶けてしまったかのようなような錯覚すら起こすような、そんな白。
僕はここで仰向けに寝転んでいる。目の前に広がる白い空間にこのまま吸い込まれてしまえばもう、あのうんざりするような日常から解放されるだろうか。それも悪くない、なんて思う。
微かに、音がした。
反射的に上体を起こす。心臓が鼓動を早めるのを感じながら。
この部屋に自分以外の何かがあるという可能性は思いつきもしなかったので少し身体をこわばらせ、その乾いたような、ささやかな音のした方に必死に目を凝らし、そして、気付く。
ここはどこだろう。
あらためて辺りを見回す。白い部屋というよりも光の中にいるようだ。見る限り何の陰りもない。壁と天井のつなぎ目、ドアのふち、そんな見えて然るべきものが見当たらない。そもそもそんなものがあるのだろうか。あるいは部屋ではないのかもしれない。見受けられるのは絶対的な空間のみだ。
気がつけばここに居た。
部屋、だろうか。見渡す限り白い。一点の陰りもなく全てが白く、自分の肉体すらそこに溶けてしまったかのようなような錯覚すら起こすような、そんな白。
僕はここで仰向けに寝転んでいる。目の前に広がる白い空間にこのまま吸い込まれてしまえばもう、あのうんざりするような日常から解放されるだろうか。それも悪くない、なんて思う。
微かに、音がした。
反射的に上体を起こす。心臓が鼓動を早めるのを感じながら。
この部屋に自分以外の何かがあるという可能性は思いつきもしなかったので少し身体をこわばらせ、その乾いたような、ささやかな音のした方に必死に目を凝らし、そして、気付く。
ここはどこだろう。
あらためて辺りを見回す。白い部屋というよりも光の中にいるようだ。見る限り何の陰りもない。壁と天井のつなぎ目、ドアのふち、そんな見えて然るべきものが見当たらない。そもそもそんなものがあるのだろうか。あるいは部屋ではないのかもしれない。見受けられるのは絶対的な空間のみだ。