優しい嘘−最低な兄に恋して−【上】
何度も家へ帰ろうとする雪穂を俺は何とか引き止めた。



家に帰ってしまえば母親の死に気づいてしまうかもしれねぇ。



いつまでも隠してはいれないと分かっていながら少しでも先延ばしにしたかった。



結局、なにも言えないまま3ヵ月もたってしまった。




今日、なかなか起きてこない雪穂。


いくら夏休みだからって寝すぎだろ?


俺は雪穂を起こそうと部屋に入ると、雪穂がいなかった。



荷物もねぇし。


いつの間に、出て行ったんだよ?



俺が昨日あんな事をしたから……。





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