かけがえのないキミへ


一体なにものなのだろう?とずっと気になっていた。

綾音は深く頷いて、俺から離れていき、リビングにあるホワイトボードの前に立った。
そして水性マジックを手に持って、字を書いていく。

ホワイトボードに並べられる文字たちは、こうだった。


《樹里ちゃんは、最近転校してきたの。アメリカから》


『へー…そうなんだ』


ホワイトボードに近寄りながら俺は綾音が書いた文字を見る。
綾音はその文字の下に、《どうして、樹里ちゃんのこと聞くの?》と書いた。

俺は頭を掻きながら、綾音の質問に答える。


『ちょっと気になっただけだよ。なにものかなって思ってさ』



《そうなんだ…》


ペンを持つ綾音の手が徐々に下がっていく。


『なんにもないから…』

こう言って綾音の頭をぽんっと撫でた。
綾音は微笑んで、自分の部屋へと戻って行ってしまった。



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