かけがえのないキミへ
だけど加奈や先生は、自分が悪いと言った。
強いんだ、この二人は。
今の俺は弱いということだ。
最低なんだ…
《怜君も幸せにね?楽しかったわ。今まで。本当にありがとう》
『先生もな。こんな俺でごめん。じゃあ、また学校で。今度会うときは元通りだね。ばいばい』
《サヨナラ、怜君》
これが先生が最後に俺の名前を呼んだときだった。
もう明日から名前ではなく、城谷に戻る。
寂しくなんかない、
だって進んでいるのだから。
ゴールに。
そして俺はもう一度携帯を操り、一人の女性にも電話をかける。
偽りの恋人に…
その恋人に電話を発信して、コール音になるとすぐにその人の声が耳に飛び込んできた。
《怜?!》
その人の声はまるで、大好きな人からメールや電話がきたときの嬉しさのようだ。
まさに今ということ。
『梨花か?』