魔王に捧げる物語
寂しい、も少しはあったけど。
それほどでもない………。もっと違う何かが頭をよぎった。
悶々とするミラを見かねてかニルが手を伸ばす。
「おいで?髪、乾かしてあげる」
思い出したように触った髪は濡れて真っ直ぐになり、魔法が解けたように巻き毛の名残を残さない。
少し残念と思いながらニルを見ると、
元々近くにいたため立ち上がればすぐ、伸ばされた手が届く。
どうすればいいのか迷う彼女の脇に腕が差し込まれ、抵抗する間もなく彼の足の上に座らされて優しく撫でられた。
スーの時のように風は感じない。
格の違いなのだろうか……?
心地よい刺激に目を閉じたまま、ぼんやりと思った。
そういえば、とニルがミラを膝の上に乗せたままイシュに問う。
「何しに来たの?」
その言葉に、うるっとした目でイシュが二人を見た。
「お食事の準備が整ったのでお呼びに参ったのですっ!」
「ノック………」
「何度もいたしましたっ!!」
「ミラはほっぺに夢中だったしね……」
「ごめん、なさい。イシュ」