魔王に捧げる物語
そりゃ、驚く。


だが、堂々と驚くのも失礼だと思い、


「大丈夫だよ……」


と答えた。


ニコニコと微笑む青年が、

「僕はルース、君は?」


と、手を出した。


ミラは少し緊張しながら答える。


「はじめまして……ルース、わたしはミラ」


「わっ!綺麗な手だねっ!こんな辺境にいるけど、お姫様?」



ルースがミラの手を慎重に握り、覗き込む。


「ち、ちがうよ!きっと働いてないからなの」



慌てて離した手を胸の前でギュっと握り、フルフルと首を振った。

彼は気にする様子もなく楽しげな表情で、


何を思ってか、フッと室内を見つめ、意味深な事を呟いた。


「まるで………鳥籠みたいだね」


「えっ?」


「なんでもないよ」



意味がよくわからなかったが、なんでもない、と言われてはそれ以上追及できない。


まあいいか、と思いながら問う。



「探し物って、どんなものなの?」




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