魔王に捧げる物語
「ミラ?怖いの?


震えてるなんてウサギみたいで美味しそうだね……

魔王は食べられないけど、君はとても美味しそう。


僕は寂しがり屋だから、ついでに世界を燃やし尽くして一緒になりたいんだ。


きっと至高の味だろうね?」



これは“何”だ?

きっと……出てきてはならないモノだ。



声も出せずに固まるミラに、ルースが近付き、ゆっくりと屈む。


触れるか触れないかのギリギリまで手が伸びてきた、


「美味しいものは、我慢したほうがより美味しいらしい………。


時間切れみたいだから今度にするよ。


覚えておいて?
本当の名を……、


我が名はヴェクサシオン、魔王を滅ぼし、死と炎の禍いをもたらす者……」



災、禍………?



ニルが言っていた事が頭を過った。


嫌な汗が流れ、近づく手を見ていられずにギュっと目を瞑る。



触らないでっ!!


いや、いや、イヤッ!!!



助けてっ



ニル!!!





恐怖の中で呼んだのは、何日も城を空けている彼。


イシュやスーの事は何故か思いだしもせず、


心の中で何度も彼を呼んだ……。







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