魔王に捧げる物語
「わからなくても仕方ないよ、人間は知らない事だから……」
「どういうこと?」
「ミラにはまだ言ってなかったけど、俺は魔王として万全の状態ではない。
正直、力を持て余してた。疲れ果てていたからね、
自家中毒で滅びるわけにもいかない、マヌケな最期なんて迎えたくないし……」
「それとこれが……どんな関係があるの?」
ニルはシィっと自身の人差し指を口元に持っていき、続きを聞けと、言うようにミラを黙らせる。
「だから、力を半分に分けた。いずれ戻るように、印と一緒に………」
彼の視線がミラの印へと下がる。
驚いて胸を押さえると彼の口元が弧を描いた。
「癪な話だけど、狙われたのはそのせい。
今の俺には、もしも本気で出てきた奴らには対抗が厳しい………。
力が戻れば別だけどね?」
「力が……印と一緒にわたしの中にあるの?」
「そう。
まさか奴が幻でも現れるとは予想もしなかったけど………、
つまみ食いなんかされたら、奴の封じられた大陸ごと消してたよ……」