魔王に捧げる物語
「姫君っ!?お探ししましたっ!!」
ボーッとしていた所にイシュが慌てた様子で現れる。
ミラの姿を見た途端に、不安そうな顔で寄ってきた。
「もう夕刻ですが、お加減でも………?」
そんなに時間が経ってるとは思わなかったが、近くの窓を見ると確かに空は緋に染まっている。
でも、どうでもよかった。
「…………」
「姫君………?」
「……大丈夫、だよ」
うまく笑えない。
心配そうな顔はわかっていても、どんな事を言えばいいのかもわからなかった。
「ニル様も心配されております……参りましょう?」
小さな手を差し出され、悩みながらとるとグラリと視界が歪んだ。