魔王に捧げる物語
「ミラ、確実に誤解だよ。とりあえず来て」
グイっと手を引かれ、渾身の力で離れようとするが出来ない。
「い、やぁ!行かないっ!!」
「ミラ、誤解させた事は謝る、よく聞いて?
イリスは俺を諦める、その為にここに来ただけ。
彼女は他国に嫁ぐ、その前に会いたいと言ってきただけだ」
「でも……」
あんなとこを見て冷静になんていられるわけがない。
軋んで壊れた何かは戻らない。
理由があったにしても、絶対にイヤだった。
ミラが感じたのは初めての激しい嫉妬。
あの人がニルと話すのも、近寄るのも何もかも嫌でも仕方なかった。
持て余す感情から、ただどうする事もできない。
「………やきもち焼いてくれたの……?」
「………わかんっない」
「言いたい事、全部言って?」
ニルの声は優しすぎた。