魔王に捧げる物語
「あの人と…ニルが話すのいや」
「うん」
「……触れるのは………もっといや」
「うん…」
「わたしが知らないこと…あの人っ、いっぱい知ってたっ」
「………」
「苦しくて、悔しかったの、……側にいるのに、知らっ、ないなんてっ」
「ミラ……」
ニルの手がゆっくりと伸びて慎重に涙を拭う。
あまり変わる事のない表情が悲しげだった。
「わたし、何もしらないけど………、
あなたの一番に、なりたかった!
いろんなものを諦めてきたけど、ニルは諦められなかった」
嗚咽を抑え、内に秘めた本心を勢いに任せる。
彼の美しい瞳が見開いた。
わからなかったモヤモヤの正体が、少しづつハッキリとしていくのを自分でも理解していく………。
これが“嫉妬”で、
きっと、こんなどうしようもない想いが本当の
恋、だと。
苦しくて辛くて、不安で嫌になる、……それでも相手を求め、想ってしまうから。
今までの“好き”がどれだけ軽いものか、たった今わかった。