魔王に捧げる物語





ポロポロと零れる涙が痛々しくて仕方ない。

大きな瞳が潤んで、輝くのは例えようもなく美しく、いつか誰かが言っていた意味がわかった気がした。


泣かせたのは自身なのに、どこかで歓喜する。

彼女さえいれば、自分はまだ………心までなくなったりしないと思った。


いつだって彼女は気付かぬうちに自分を喜ばせるのが上手だ。

幼いころからずっと……。


人間だったら……どんなに良かっただろうか?



喜怒哀楽を肌で感じ、温かい体温で包み、力がなくとも同じ世界を見られた。


初めからわかっていても、闇に引き摺り込むことをどこか躊躇ってきた。



どうやらそれは…もういいみたいだ………。


言うまでもなく、自身の一番は彼女だけで、それ以外は大した意味などない。






もう、堕ちるとこまで堕ちればいい………。

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