魔王に捧げる物語


少しだけ……そう、ほんの少し、チラリと見た瞬間に唇にそれがあたった。


何度か軽いキスをするうちに深くなる。


会話なんて必要なかった……。

少し冷たい唇は火照る体に心地よく、確かめるような優しいそれにだんだん緊張も解れ、気付けば腕を回していた。


押し倒された頃には大分はだけた首筋や胸元にはキスマーク。

そして……疎み続けた印が見え隠れしていた。


「……………」


「怖い……?」



そう問われても、これからどうなるのか正直わからない………。


迷っていると、また優しいキスが落ちる。


「嫌ならここで止めてもいいよ?」


余裕たっぷりの表情、その艶っぽさにドキリとしながらも、ニルとならいいと思った。


「………いいの」



言った瞬間に彼はニヤリと口角を上げる。


「その言葉、撤回させない」





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