魔王に捧げる物語
その言葉に、痛々しく抜けるたくさんの羽と、疲れた顔が浮かんだ。
「うん、でも……」
次に見た時はそこまでではなかったはずだ。
少なくともあれほど抜け落ちてはいない。
考えているとニルが、ああ……とどこか納得したように呟いた。
「見てくれなら変えられるから………、あのままは流石に眷族にも心配をかけるし、
まともに形を整えてた。
今は違うよ?」
バサリと生えた翼は艶々しく、彼自身と同じく光を散らした。
何対もある翼が個々にはためいて柔らかな風が肌を撫で、ほんのりと髪を揺らす。
以前とはあまりに違うそれに思わず言葉を無くすと、柔らかな羽毛がふわりとミラを包んだ。
「羽布団より気持いいでしょ?」
「うん…すごく」
ふわふわな羽は本当に気持ちよくて、思わずすり寄るとギュッと抱きしめられる。
「ねぇ、もう少しこのまま眠ろう?
今すごく幸せだから」
「………うん」
考える事もなく答えられた。
暖かな温もりに包まれて、たまらなく幸せだったのは自分も同じ。
一人ぼっちの時には想像する事も出来なかった……。