魔王に捧げる物語
ハッと目を覚ますと、体がひどく震えていて異常な寒さに襲われていた。
辺りは真っ暗で、感触からしてベッドの上である事はわかる。
目を凝らして見つめるといつもある姿がない。
途端に恐怖が蘇った。
「ニルっ!ニルっ!!」
とりつかれたように呼び、柔かいベッドの上をまさぐる。
やだ、やだっ!
どこ……?
這うように進み、いつの間にか端まで来ていたのか。
伸ばした手が空を掻き、バランスを崩して落ちそうになった瞬間。
「危ないよ」
と、静かな声と共に脇に手が差し込まれた。
緊張した体から少し力が抜けて、冷えきった手ですがりつく。
「…………どうしたの?震えてる」
「ニル…ニル!」
「俺はここにいるよ、大丈夫」
様子のおかしいミラに気付いた彼が、落ち着かせるようにゆっくりと背中を撫でて、そのまま抱きしめられた。
少しだけ恐怖が和らぐ。