魔王に捧げる物語
何も言えずに立ちすくむ兵士達を一瞥し、イオはニルに向き直る。
「行きましょう……」
「………一歩でも進んだら殺すよ。
お前は来い」
ニルは歩かずに低空で飛び、イオを伴って進んだ。
「イシュ、剣を」
ミラは決意を込めて冷たく言った。
不安そうな顔で見つめられるが、気持ちは変わらない。
「姫君……」
「早くして、わたしも行きます」
イシュが出した剣を鞘から抜くと鈍く輝き、重さに肩が悲鳴を上げる。
重さなんて今はどうでもいい。
「ニルのところに連れて行って」
「駄目ですっ!!」
「イシュ」
「わたくしは姫君をお守りするのが役目でございます!
それに………あなたが剣をとることをニル様は望みません!!」
乱暴も出来ず、イシュが強く出られない事はわかってる。
本当は大人しくしなきゃいけない事もわかってる。
それでも!
「そばにいたいの。
手が汚れても、傷を負っても……。
お願い、イシュ」