魔王に捧げる物語
スッと上を向いたニルと同じくミラも恐る恐る視線を上げると、


高い天井に足をつけ、逆さまになっている白っぽい人を発見した。
外見的には男性だろう……、



な、なんだあれ?




と誰もが思った中、紫水晶の瞳が楽しげに細められる。



「魔王たる者が、容易く心を騒がせるな。お前の側近、怯えてる。人間なんかやっとでしか意識を保ててないんじゃない??」



「………カイン。何用だ」


ふわりと降りてきて、ニルと同じくらいの高さで浮いている。


まるで、天使のように神々しい純白の衣に身を包み、同色の髪も濡れたように艶々しく、整った甘い顔立ちが作り物めいて笑む。

ニルとは違う白さの肌も健康そうに見え、唯一目を引いたのは不自然な瞳だった。


白く長い睫毛に縁取られた白目の部分が全て黒。
魔性な紫水晶だけが意味深に光り、
瞳孔が山羊のように楕円形で横に広がっていた。




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