¥時給1000万円


「…さぁて!今夜はご馳走がいっぱいよ~!!」
仕切り直したかのようにオーナーが明るい声で話す。



こんな状況で第二部を始めようというのか…

従業員も身が入っていない感じをただよせている…





時刻は1時半をまわっていた。

兵士たちが次の準備を始めようと、投票用紙や遺体の片付けを済ませる。

一方で小向の足はすぐに動けそうにない状態だ…
顔は青白くなり、口元はガタガタと音を鳴らして怯えている。

オーナーは小向のもとに近づく。
「…自分で書いたシフトなんだもの…働かなければ『クビ』になることぐらい分かってるわよねぇ~。」


小向は『クビ』という言葉に反応して震えを止める。そして目だけ動かして しゃがんできたオーナーの顔を見た。


「…ぼくは こんなの許さない…」
「…それが君の答えか…?」

少しの沈黙のあと、ゆっくり頷き 一言…


「…あぁ…!」



オーナーは困った顔をする。

そして右手を後ろに回し、おいでおいでをして兵士を呼ぶ。




一人の兵士が来ると話を続けた。

「…いいか?………よく考えろ!」
小向はオーナーと兵士を交互に睨む。


< 217 / 392 >

この作品をシェア

pagetop