¥時給1000万円
「…さぁて!今夜はご馳走がいっぱいよ~!!」
仕切り直したかのようにオーナーが明るい声で話す。
こんな状況で第二部を始めようというのか…
従業員も身が入っていない感じをただよせている…
時刻は1時半をまわっていた。
兵士たちが次の準備を始めようと、投票用紙や遺体の片付けを済ませる。
一方で小向の足はすぐに動けそうにない状態だ…
顔は青白くなり、口元はガタガタと音を鳴らして怯えている。
オーナーは小向のもとに近づく。
「…自分で書いたシフトなんだもの…働かなければ『クビ』になることぐらい分かってるわよねぇ~。」
小向は『クビ』という言葉に反応して震えを止める。そして目だけ動かして しゃがんできたオーナーの顔を見た。
「…ぼくは こんなの許さない…」
「…それが君の答えか…?」
少しの沈黙のあと、ゆっくり頷き 一言…
「…あぁ…!」
オーナーは困った顔をする。
そして右手を後ろに回し、おいでおいでをして兵士を呼ぶ。
一人の兵士が来ると話を続けた。
「…いいか?………よく考えろ!」
小向はオーナーと兵士を交互に睨む。