『伝言歌』


ピピピピピ♪





静かな部屋に電子音が鳴り響く。





カチッ……。

あたしは手を伸ばし、その音の根源を止めた。



止めはしたものの起きるのがつらくて、布団に包まっていた。

こういうときになると、"春眠暁を覚えず"なんて漢詩を思い出したりする。

すると、追撃の携帯のアラームが鳴り出して、渋々ベッドから出た。



朝だと主張するかのようにカーテンの隙間からずかずかと入り込んでくる太陽の光。

開けた窓から吹き込んでくる爽やかな風。

チュンチュンと聞こえる鳥のさえずり。


普段から変わらないはずのことも、何だか今日は新鮮に感じる。





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