『伝言歌』


階段を下りてリビングへ行くと、お母さんが朝食の準備をしていた。


「おはよ。パン焼いていい?」

「うん」


あたしの朝食はいつも決まってパンと牛乳。


ちなみに、毎日牛乳を飲んでいた割に身長は伸びなかった。

まぁ、そんなことはどうでもいいのだけれど。





最近お父さんには会っていない。

いや、会っていないというより、家にいないのだ。

単身赴任というわけでもなかった。


音響の仕事をしていて、今はアーティストと一緒にツアーの真っ最中だそうだ。

今回は今までで最大規模で半年程にも及ぶ長いツアーらしい。

そうやって音楽の仕事をしていたこともあって、

小さい頃からコンサートに連れていってもらったこともある。



あたしは食器を片づけて、洗面所で顔を洗い、寝癖を直して、部屋へと戻った。





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