月の恋人
◆◆◆
翌日
あたしは
早朝からの蝉の大合唱にも関わらず、全く起き上がる事ができなかった。
―――…
「8度7分。」
ママの高い声が頭に響く。
「ママ…あたま痛い…」
「そりゃそうよ、熱があるんだから。あんた最近、体調おかしいわね。生理が来たせいかしら……困ったわねぇ…今夜は早く帰ってくるから、大人しく寝てなさいよ。」
「ん……」
この歳になって
親が恋しい、なんて
ちょっと恥ずかしいけど
弱ってる時って、妙に不安になる。
あたしの表情に気づいたのか
「だいじょうぶよ。涼に薬渡しておくから。お粥食べたら、ちゃんとお薬飲みなさいよ。」
そう言い残して
ママは仕事へ行ってしまった。