月の恋人
ママが出て行ってしばらくして、お膳を持って涼が部屋に来た。
「…大丈夫か?」
「……ん。涼、ごめんね。」
「なんで“ごめんね”なんだよ……。食欲ないだろうけど、少し食えよ。薬飲めないからさ。」
「……いらない…」
ほんとに、要らなかったんだ。
「……おい……昨日、翔と何があったのか、聞き出したくてしょーがないのに、聞かない俺の努力を誉めろ。……いいか、悪いと思うなら、食え。」
こ……怖いっ!
涼のあまりの迫力に
一も二もなくベッドに起き上がった。
「よし。」
目の前に
レンゲが差し出される。
「…あ、…ありがと…」
それを取ろうとしたら、拒否された。
「え?なに?」
「口開けろ。食わせてやるから。」
「えっ…自分で食べられるよっ!」
―――なんで!?