月の恋人
「……… そう、です、か…」
なんだか、恥ずかしくなってきた。
なんて成長がないの、あたし…
「……… だから、好きなんだ。」
こそっと耳打ちされた、その一言に。
頬が ボン、と音を立てたかと思った。
―――… 翔くん、それは、反則です…
………
なんだか、最近
翔くんは、積極的だ。
こうやって、“好き”って、不意に言ったり。
手を繋いだり。
身体をくっつけてきたり。
そう、何よりも。
その、目が――…
あたしを見つめる眼差しが。
どうしようもなく、優しくて、甘くて、真剣で。
慣れないあたしは、いつもどこか戸惑ってしまうのだった。