月の恋人









星の綺麗な、晩だった。






眠れなくて、もう何度ため息をついたかわからない深夜1時。

コンコン、と遠慮がちなノック音と共に現れた翔くんは、あたしを真夜中の散歩へ連れ出した。



久しぶりの、庭。





「ごめんね、夜中に。……寝てた?」


「………」



言葉の出てこないあたしは、首を振るかしかできない。




「…星が、綺麗だろ。」



優しく笑みを浮かべて 翔くんは空を見上げる。

そこには、街の明かりにも負けない光の粒たちが、沢山煌(きらめ)いていた。





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