月の恋人
◆
星の綺麗な、晩だった。
眠れなくて、もう何度ため息をついたかわからない深夜1時。
コンコン、と遠慮がちなノック音と共に現れた翔くんは、あたしを真夜中の散歩へ連れ出した。
久しぶりの、庭。
「ごめんね、夜中に。……寝てた?」
「………」
言葉の出てこないあたしは、首を振るかしかできない。
「…星が、綺麗だろ。」
優しく笑みを浮かべて 翔くんは空を見上げる。
そこには、街の明かりにも負けない光の粒たちが、沢山煌(きらめ)いていた。