月の恋人
「つい、こないだまで。あたし達小学生だったのにね…」
(亜美―…?)
ふと漏れた小さな呟きに
どうしようもない、寂しさを感じるのは…どうして?
ゆるり、と
熱された生ぬるい風が正面から来て
2人の間を抜けていく。
その流れに沿ったように
野球少年たちを見ていた亜美が、こちらを向いた。
「おひさまの光に当たるのって、精神的にも良いんだって!陽菜、ずっと外出てなかったんでしょ?ちょっとでも元気になればいいなぁって思ったんだ。」
―…それで、あたしを連れ出してくれたの?
視線で問うと、亜美の顔が少し曇った。
「でも、それだけじゃ、ないかな。本当は、あたしが陽菜に会いたかったの。あのね、あたし―…」