月の恋人
―――――――…
あらかたの事情を話すと、タケルが言った。
「ま、そんなような事なんじゃないかって、予想はしてたけど―…繊細そうだもんな、陽菜ちゃん。」
「うーん、そうだなぁ。あの危なげなところがまたイイんだけど…」
「……おい、ジョージ。陽菜ちゃんはダメだぞ、俺が一番最初に唾つけたんだからな。」
「って、お前、狙ってたの?マジで??」
ああでもない、こうでもないと
いつものノリで盛り上がるタケルとジョージ。
――…ったく…こいつら…
あまりにも普段通りの彼らに
張り詰めていた色んなものが、一気に緩んでいくようだった
緩んで――…
「バカだな―…泣く程の事かよ、ったく…」
ふわり、頭ごとタケルに抱え込まれる。
――…泣いてる? 俺が?