月の恋人
「それで、翔くん達は、今後どうしていくつもりなの?まずは、メジャーデビューを目指す?悟さんは、翔くんの音楽活動を、認めてくださるのかしら?」
「―…そのことについてですが。僕からひとつ提案をさせていただきたい。」
そう言って
突然、圭介さんが立ち上がった。
なにか、改まった様子で、辺りを見回す。
「Another moonのメンバーを、こちらに招待したいのですが。」
―――…え?
「実は、友人がロンドンでファッションブランドを立ち上げましてね。全く新しい素材を探しているんですよ。広告に使うモデルや音楽をね。もちろん、国内外から。だから、今日のコンテストは非常に興味を持って拝見してたんですが。」
―――…あ…
『仕事の関係もあってちょっと興味があったから、来させてもらったよ。』
あの時、会場で圭介さんが言ってたのは、そういう事だったんだ。
「Another moonの音楽は、非常に面白かった。作曲しているのは、翔くんだったね。多分―…北欧やアイスランド、UKなど、北の音楽と肌が合うだろう?実際に、国々を訪れてその風土を体感しみたら良いと思ってね。すべてを生むのは、その土地だから。
それと、これは直感なんだが…
きっと彼は君達の音を気に入ると思うんだ。一度、是非会わせてみたい。――…どうでしょう?悟さん。」