花を愛すように君を愛そう。



それは半地下の檻にいる私には空からの神様の声に聞こえましたが、



実際は、地上で私を探しまわっていた、

菖蒲さんが、建物に不可思議に取り付けられた空気口から私を見つけてくれた声。




愛しく、切ない。



そんな声でした。






菖蒲さんは私が窓だと思っていたその空気口を壊し、檻に下りて私を地上へ戻しました。



私に触れた菖蒲さんは驚いた表情をして私に近づき、なにも言わず私を抱き抱えて。

私の顔は一切見ませんでした。


やっぱり菖蒲さんは優しい人。


痩せこけて、血色も土色だった私をそっとしておいてくれた。



いくら強く精神を持とうとしても、

憧れの人に最悪の顔を見られたら一生の傷になっただろう。





菖蒲さんは、優しい人なのですよ。



不器用な心の持ち主だけれども、




私は知っているのです。





菖蒲さんは今まで出会った人の誰よりも心の温かい人だって事を。





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