クマさん、クマさん。
俺ならきっと菜摘以上の可愛い奴が現れる。
俺ならきっと菜摘以上の人に恋をする。
俺ならきっと菜摘以上に・・・好きになれる人が現れる。
だから俺は追わない。
だから・・・この流れる涙は菜摘のことなんて関係ない。
俺は菜摘がいなくても大丈夫だ・・・―――――――
菜摘と別れて1週間後、仕事から帰宅中、赤信号で車を停めていた時だった。
ぼーっと遠くを見つめていた。
すると遠くからでも分かるような仲良さそうなカップルが歩いていた。
俺たちも、あんな風に見られてたのかな・・・。
いや、俺たちは"お互い"相手に感情がなかったんだ。
あんな仲良さそうにはきっと見られなかっただろうな。
だんだん近づいて来るそのカップルを見ていると、顔がはっきり見える距離まで近づいた時に気がついた。
あれは・・・菜摘だ。
カップルの彼女の方は菜摘だった。
そして、菜摘の隣は・・・あの男だった。
2人は俺に気がつかずに手を繋いで歩いていた。
周りの人から見ても幸せそうだと分かるぐらい・・・
2人は幸せそうに笑っていた。