クマさん、クマさん。

「あれから3年経っても・・・クマさんが好きだった」



電車に乗る度にクマさんの姿を探した。



T高の制服を見る度にクマさんを探した。



いつもあたしの頭の中はクマさんばかりだった。



「今年の夏に・・・クマさんと図書館で会った」



"なっちゃん"とあの頃とは大人びた笑顔で笑うクマさんを見て涙が出そうになった。



「その時に・・・聞いたの。"どこの大学に行くの?"って」


クマさんが言った大学をあたしは"偶然!一緒だね"って言おうとした。




でも・・・――――――


「クマさん・・・笑顔でね・・"アメリカの大学に行くんだ"・・って」


クマさんに言われた瞬間、あの後どうしたか覚えてない。



いつの間にか家に帰っていた。



頭の中はクマさんがアメリカに行くことしかなかった。



「大学なんてどこでも良かった。クマさんがいる大学ならどこでも良かった。

でも・・・――――」



クマサンハイナイ。



「クマさんは日本からいなくなっちゃう・・・」


高校が違っていても、日本にいる。

近くにいる。



それだけで良かったのに。


クマさんはもう日本からいなくなる。


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