クマさん、クマさん。
「好きだったってどういう意味?」
「・・・そのままの意味だよ」
本当に朋秋が好きだった。
空也への気持ちには勝てなかったけど本当に朋秋が好きだった。
「・・・本当に?」
空也は今さっきまでのニヤニャした顔じゃなくて、悲しそうな顔をして言った。
「うん・・・ずっとあたしを想ってくれていたのにごめんね。
でも、あたしはあの時は・・誰かに隣りにいてほしかった」
寂しかった。
誰かが一緒にいてほしかった。
「そんな時、朋秋と出会って・・・朋秋を好きになった」
告白は朋秋から・・・最初は迷ったけど、朋秋のさりげない優しさを見て、空也を忘れて朋秋を好きになれる・・・そう思えた。
そして、あたしは朋秋を好きになった。
「今も・・・?」
悲しい顔をしないで。
「そんな訳ないでしょ・・・?あたしはあなたの妻よ?熊谷菜摘よ?あたしの好きな人は空也だけよ」
朋秋を好きになった・・・でも、やっぱりあたしは空也だけだった。
だからこそ今のあたしがいる。
「あたしを幸せにしてくれるのは空也だけだよ」
ねぇ、朋秋・・・?
あなたは、あなたの幸せをみつけられた?
あたしは朋秋の幸せを願ってるよ・・・?
「菜摘・・・大好きだよ」
「・・・あたしもだよ」
バイバイ、朋秋・・・。
-菜摘side END-