クマさん、クマさん。


「好きだったってどういう意味?」


「・・・そのままの意味だよ」


本当に朋秋が好きだった。

空也への気持ちには勝てなかったけど本当に朋秋が好きだった。


「・・・本当に?」


空也は今さっきまでのニヤニャした顔じゃなくて、悲しそうな顔をして言った。



「うん・・・ずっとあたしを想ってくれていたのにごめんね。

でも、あたしはあの時は・・誰かに隣りにいてほしかった」



寂しかった。

誰かが一緒にいてほしかった。



「そんな時、朋秋と出会って・・・朋秋を好きになった」


告白は朋秋から・・・最初は迷ったけど、朋秋のさりげない優しさを見て、空也を忘れて朋秋を好きになれる・・・そう思えた。




そして、あたしは朋秋を好きになった。



「今も・・・?」


悲しい顔をしないで。


「そんな訳ないでしょ・・・?あたしはあなたの妻よ?熊谷菜摘よ?あたしの好きな人は空也だけよ」



朋秋を好きになった・・・でも、やっぱりあたしは空也だけだった。


だからこそ今のあたしがいる。


「あたしを幸せにしてくれるのは空也だけだよ」



ねぇ、朋秋・・・?

あなたは、あなたの幸せをみつけられた?


あたしは朋秋の幸せを願ってるよ・・・?


「菜摘・・・大好きだよ」


「・・・あたしもだよ」


バイバイ、朋秋・・・。



-菜摘side END-

< 114 / 138 >

この作品をシェア

pagetop