クマさん、クマさん。










でも、クマさんはK高からとても離れているT高に行った。




入学式の日、いつも見る大きい背中が見えなくて泣きそうになった。




あれから2年・・・――――


また進路という壁があたしの前に現れた。


「なっちゃんは成績が良いからどこでも行けるね」


「・・・そうだね」


成績が良いからこそダメなんだよ。


もしも成績が悪かったら行く大学が少なくて諦める決意が出るだろう。



でも、あたしの成績は良いからどこでも行ける。


どこでも行けるなら、クマさんと同じ大学に行きたい・・・そう思ってしまう。




もう悩んでいる時間もない。


さっさと大学を決めないと・・・。



アオイと教室に入ると伊能と目が合った。


いや、違う。

伊能はあたしの隣りのアオイを見たんだ。



伊能はアオイを見た瞬間、優しい顔をして"おはよう"と言った。


アオイは顔を赤くして"おはよう"と言う。



この2人はあたしの理想だ。


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