クマさん、クマさん。





あたしを見て優しい顔をして、あなたは"おはよう"と言う。



それにあたしはとびきりな笑顔で"おはよう"と言う。



そんな小さな願い・・・・叶う日は来るのかな?




「なっちゃん先輩!好きです!付き合って下さい」


昼休憩に後輩に呼ばれて屋上に行くと、告白をされた。


アオイや友達がなっちゃんと呼んでいるから、知らない後輩にも"なっちゃん先輩"と呼ばれていた。



まぁ、迷惑掛からないし別にいいんだけど

クマさんもあたしを"なっちゃん"と呼んでいたから異性に呼ばれたらクマさんを思い出してしまう。



それがちょっと切なかった。



「ごめんなさい」


告白の答えなんて決まっている。


「・・・理由は?」


「他に好きな人がいます」


気まずくて顔を下げて言った。



「・・・そうですか。分かりました」


「・・・じゃあ」


重い空気に堪えられなくて、後輩にお辞儀をすると、ドアに走って向かった。



「あのっ」


声を掛けられ体が止まる。


< 5 / 138 >

この作品をシェア

pagetop