クマさん、クマさん。
「お互いがお互いを傷つけるだけ」
「・・・」
「熊谷には、彼女がいる噂なんて聞いたことがない。いないんだろ?彼女」
「・・・はい」
・・
彼女はいない。
「これからもダメだ。相手を想う気持ちがあるなら、諦めろ」
「ツッ・・・」
諦める・・・?
この3年間の想いを・・・?
ずっとなっちゃんだけが好きだった。
なっちゃんしか想ってなかった。
そのなっちゃんを諦める・・・。
「その顔なら・・・大切な人がいるんだな」
表情に出てたのか・・・。
「熊谷・・・いるんなら、考えろ。夢をとるか、好きな人をとるか」
中学の時に考えていたことがまた現れた。
『夢』か『大切な人』か。
中学の時はまだ甘い考えで乗り越えた。
でも今は・・・?
今はもうあんな甘い考えで乗り越えられる話しじゃない。
「ちゃんと考えろ」
先生はそう言って時間をくれた。
この時、先生が"今、選択しろ"と言っていたら俺はどんな答えを出していただろうか・・・。
『夢』か『大切な人』・・・。
どちらを選んでいたんだ・・・?