クマさん、クマさん。


俺もカニも、もう社会人だ。



「カニ・・・俺さ、日本に戻ることになった」


『えっ!』



俺は通訳専門とする会社に入っていた。


俺はアメリカの本社にいて、度々色んな国に行き、通訳をして国と国の関わりに交わってきた。



そして、俺は転勤になり、ずっと希望していた日本の支社に配属されることに決まった。


『いつ帰るんだよ!』


カニは興奮して声が大きくて耳が痛い。



「ボリューム下げて。帰るのは1ヶ月後だよ」


荷造りもだし、引き継ぎもあってすぐには帰れない。



『あと1ヶ月か~。・・・長かったな』


「・・・まぁね」



高校を卒業して6年・・・。


この地で頑張った。


自分で決めた事だから辛い時も弱音なんて吐くことはしなかった。



『なぁ、クマ』


「ん?」


『今度こそ、なっ『蟹原さ―ん、休憩終了ですよ―』


「プッ、蟹原さん電話終了だね」


『・・・だな。まぁ、また電話する』


「分かった。じゃあね」


『おぅ』



プッ



「ハァ・・・カニのせいで目が覚めたよ」


明日も朝早く仕事あるのに眠れなくなってしまった。



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