恋愛倶楽部 -love-
一瞬、自分の耳を疑った。
追いかけて行った、って。
「でも、あたし亜蓮と会ってないよ」
そうだ。
別れ話を切り出された冬の日。
「それに、別に追いかける理由なんかないはずでしょ?」
涙を堪えきれずに、亜蓮の部屋を飛び出した。
あてもなく走って、走って走って。
「奏斗、なんで急にこんな話するの?」
あたしは決めたのに。
この黒蓮華の刻印がある限り、もうあいつとは関わらないって。
すがりつくようなこと、したくないし。
ヨリを戻すなんて考えなかった。
なのに、今さら
「あいつの話なんか聞きたくない」
心が揺れ動くのが怖くて。
どうしようもなくて。
前の時とは、ちょっと違うけど……
「ごめん。
ただ、もしゆゆが亜蓮先輩のこと───」
「好きだよ、今も好き」
恋愛感情じゃなくて
「思い出の中の亜蓮が好き。
だから、今はヨリ戻そうとは思わない」
たぶん思い出が綺麗なままだから、それに夢見てるだけだよ。