GOD GAME
大切なモノ
僕は、城下町にいた。
でも、いつもと違い、誰もいない。
まぁみんなが現世に戻れたんだからよしとするか…
それに…
大切なモノが何か、気付いたかもしれない。
《よく頑張りましたね。》
アテネの声がする。
確かに頑張ったけど…
でも、儀式は止められなかった…
《あなたは、生け贄の巻き物を半分しか渡していません。
従って、本来なら約1000人が犠牲になっていたのに、約500人の犠牲で抑えれました。
あなたは、出来る限りの事はしています。》
え?
半分?
でも、500人の命を失ったのか…
《決して、自分を責めないでください。
あなたは500人の命を救ったのですよ?
さて…
大切なモノがわかったのですか?》
アテネが僕の目の前にゆっくり現われる。
その笑顔は、とても優しく、僕の心を落ち着かせてくれた。
「僕の大切なモノは、感情です。
なかなか気付かなかったけど、どんな時でも僕を支えてくれた。
感情が無かったら、ロボットだったら、ここまで頑張れなかった。
悲しみや嬉しさ、怒りがあってこそ、今がある。」
僕はアテネの目を見た。