GOD GAME
帰れる…
例えパラレルワールドだとはいえ、僕の故郷へ帰れるんだ。
理沙ちゃんや水城、奏ちゃんと会えるんだ…
わざわざ、この世界の崩壊を見届ける必要は一切無い。
「帰ります。
もとの世界に…」
僕は真っ直ぐにアテネを見た。
《では、帰りましょう。
私はここに残ります。
モンスターである私達は、ここが故郷ですから…
どうぞ、ヘルメスの光へ。》
神山に浮かんでいたあの光がアテネの右手に発生する。
すべては、ここから始まったのか…
でもこれで、半年以上の悪夢から解放される。
大切なモノ…
確か、永瀬さんがこんなことを言っていた。
人間は、こうでもしないと、大切なモノを見失ってしまう。
こんなゲームでも、メリットはある。
メリットが無いと思った時点で、メリットは無くなるんだよと…
人生に、無駄なことなんて無い。
どんなことでも、いずれ経験してよかったと思える日が来る。
僕は、そう思う。