君と過ごした日々
そういえばうち、何をしてこんなに里桜に嫌われてるんだっけ?
…いいや、なんか考えるのも面倒くさい。
このまま里桜にビンタされたら、面倒くさい記憶なんて消えるかな?
あと、10センチ。
…智士は、どこに行ったんだろ?
また道に迷ってないといいけどな。
…ダメだ、またなんか考えてる。
あと、5センチ。
あと、3センチ。
覚悟を決めたうちは、受け入れる体制として目を閉じた。
もし目を開けたままだと、触れる直前で反撃してしまうかもしれないから。
今はもう、殴られて頭のなか空っぽにしたい。
…なのにどれだけ経っても、うちの頬に触れるものはなくて。
薄く目を開けると、うちの前には白い背中が広がっていた。
「…お前さぁ、いい加減にしろよな。」
その声は、他の誰でもない、
拓海のもの。
…何をがっかりしたんだろう?
拓海以外の誰かがよかった?
その誰かが来てくれることを期待してた?
…またわからない。
「……たく、」
「その口で俺の名前呼ぶんじゃねぇ。悪寒がする。」
「……っ…」
「アイツが別の奴を見てるからって嫉妬か?醜いな。」
「っうるさいわね!!あんただって、智士に取られそうで不安でたまらないくせにっ!!」