水島くん、好きな人はいますか。




――楽しいことと、つらいことを繰り返す。


喜んで、悲しんで、つまずいて、恥ずかしくなって。憤ったあとは、泣きたくなって。気付くと些細なことで少し浮上する自分がいて、笑うことがまた増える。


自分を見つめ直して、立て直すきっかけはいつも、誰かの言葉や、表情が教えてくれた。


おだやかに。ときに荒々しく。


そうして自分は今日まで過ごしてきたのだと、日々が過ぎ去ってから気付くんだ。



「祝! 内部進学けってーい!!」


ぼこっ、ぼこっ、と間抜けな音を出しながら、紙パックのジュースがぶつかり合う2月中旬。


わたしとりっちゃんは偶然会った瞬たちと、清掃時間の中庭で即席の祝賀会を開いていた。


「これであたしたち全員、高等部も同級生だねっ」


みくるちゃんの笑顔に胸の中が温まる。

わたしたちはすでに選抜の合否通知を受け、全員そろって高等部への進学が決定していた。


学力試験を受けた日は緊張でどうにかなりそうだったな。


けれど、やれるだけのことはやったという自負が、張り詰めた心をほぐした。


なかなか予定が合わず開けていなかった祝賀会も、即席とはいえ互いの顔を見れてお祝いできれば充分だ。


「いやあ、よかったよかった。高等部でもあたしのハンターアイズが開眼できることになって」

「いい加減捕まれよ、面食い」

「視線で逮捕されちゃ敵わんよー。とりあえず外部生がどんなもんか早く知りたいねっ!」

「病院行け。バカにつける薬はねえだろうがな」


りっちゃんと瞬の会話に笑っていると、ふいに水島くんと目が合う。

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