水島くん、好きな人はいますか。

「遅くても秋口には通告されるらしいよ。早い人は春の三者面談でがんばりましょーって言われるもんね、マヨマヨと幼なじみの誰かさんみたいに」

「……えっ!?」

「うるせえ言うんじゃねえよ。内申をこれ以上下げる行為はすんなって釘差されたのは、京も同じだろーが」

「ええっ!?」

「まあ俺は万代と違って遅刻欠席の多さを親父の前で注意されたけん、あのときは焦ったがー」

「ちょ、ちょっと待って……っ知らない! そんなこと今までひと言も聞いてないよ!?」


わけがわからなくなり、説明を求めるためにりっちゃんを見つめる。


「要約しますと、担任に『このままじゃアカン』と言わせた彼らと、万代の違いはなにかってことでしょうかね」

「つまり……?」

「本当に危なかったのは彼らのほうなのに、面談でなにも注意されなかった万代が、なぜあんなに必死こいていたのか? という疑問」

「……だ、だってわたし、面談でいつも成績アップを目指しましょうって言われてて……!」

「うん、まあ、言うよね。それしか言うことないもん」


けろりとした表情のりっちゃんに、口を出せるのが勉強くらいだって言っていたお母さんを思い出す。


それから、自分は先生たちにとって校則違反上等の瞬たちとは違い、手のかからない生徒だと思っていたことも。


……なにこれ。なんなの、これ。こんなことってある?
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