水島くん、好きな人はいますか。

早退してくるほど急いで来たはずなのに、わざわざ買ってきてくれたの……?


どうして。

そんな気持ちが首を横に振らせた。


食べたかったけど、わたしがすべきことはアイスを受け取ることじゃなかった。


瞬は訝しんだようで、無言で立ち上がると部屋を出ていった。アイスを冷凍庫へしまいに行ったんだろう。瞬はすぐに戻ってきて、わたしから少し離れた場所へ腰掛けた。


どこかよそよそしい沈黙を、準備していた台詞で破る。


「あの、お見舞いありがとう。でも、うつすと悪いから」

「そうじゃねえだろ」


遮ってきた瞬は、険を纏う視線を投げつけてくる。


「そんな言い方で帰ると思うか? 帰らねえよ。それで? お前はどうすんだ。力尽くでも帰すってか?」

「……」

「反抗期ブームだもんな? さぞかしいろんな手を考えてんだろ? 受けてやるよ」


なにを言って……昨日の口論の続きでもしようってこと?


戸惑ってようやく、瞬はお見舞いだけをしにきたわけじゃないことを悟る。


睨むように見つめてくる瞬に、思わずかぶりを振った。


「イヤだ、じゃねえんだよ。お前が始めたことに付き合ってやってんだろうが。喜べ」


喜べない。こんな形は望んでない。


ゆっくりと、だんだん関わらなくなって、それがみんなにとってふつうになって、離れていけたら済むことだって思っていたのに。


みんながわたしの部屋にいるなんて、おかしい。
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