桜下心中
 月夜だった。

 伸びるお互いの人影が、二人を責め立てているよう。

 川沿いを歩くうち自然と橋の下へ来た。

 少しでも、夜風も人目も月明かりも避けて、闇夜に紛れてしまいたい。

 寄り添ってみたが、もうすぐ桜が咲くと言っても夜はまだ寒い。

 佐恵も、いつ発作があるか分からない。


「もう、終わりだ……」

「圭太」


「僕は、人を」






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