桜下心中
 わたしが、死んでも。




 橋の下、二人は抱き合って息を殺すようにしていた。

 わたしは、圭太の温もりも吐息も、一つも漏らさぬようにした。

 自分の中に象るように。

 夜の湿った寒さは、体温も体力も奪っていく。

 わたし達にはお互いの存在しか、拠り所がなかったんだ。

 出逢った時から。


 月明かり。握り合う手の、悲しいぬくもり。




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