バケバケ
三好先生はしっかりとシイを見据えていた。
諦めた目ではないのは明らかだった。
「だったら…シイくんが能力を使う前にズタズタにしてやる…」
再び戦闘体勢を取る三好先生…
シイも構える。
三好先生が地面を強く蹴り、シイの懐に飛び込むと、長い爪をシイに向かって降り下ろした。
ギリギリのところで避けるシイ。
しかし、三好先生の追撃は続く。
「僕は…絶対生きていなきゃいけないんだ…約束が…」
「…約束?」
三好先生は息を切らしながらしきりに腕を振り回していた。
その手は少しもシイの体に当たっていない。
もうやけくそになっていた。
シイは三好先生の爪をかわし、その背中に肘を喰らわせた。
バランスを崩し地面にうつ伏せる三好先生。
「……」
「能力の浪費のしすぎ。そんなむやみに振り回すから…」
「…わかってるよ。」
三好先生は自分に言い聞かせるように言った。
「…こんな…こんなはずじゃなかったんだ。」