バケバケ
「だから、手さえ繋がせなければ力はそんなに強くない。」
「手を繋いだ状態の力は異常なくらい強力だけどな。」
シイがさっき受けた傷は治る様子がなかった。
「いつもならすぐ治るんだけど治りが遅い。力の濃度が高いんだな…」
「とにかくあの二人を引き離さないとね。」
「そうだな。…でもどうやるんだ?ずっと手を繋いだままだし、放す気配ないぞ。」
「それは相手しながら考えるよ。……あ!また来た!」
二人の子供は息を合わせて飛び上がり、そのままこっちに突っ込んできた。
「燕!」
千秋の声とほぼ同時に燕さんが私たちの前に飛び出す。
そして両手を広げた。
すると地面が盛り上がり、真っ白な壁が現れた。
壁の向こうで何が起きているのかはわからない。
ただ、その壁が私たちを守ったのはわかった。
「ありがとう、燕さん。」
「……礼はいい…。」
燕さんが両手を下ろすと壁は消えた。