完全秘密主義恋愛♥
やっぱりドキッとするものの、宝の二の舞にはしないために目は逸らさない。
あたしは箸を置いて切りだした。
「片想い…なんです。だけど、本当にこの気持ちが『好き』って言う感情なのか、よく…解らなくて…」
恐る恐る言ってみると、宝のお母さんは柔らかい表情をしていた。
「なんだか懐かしい気分ねぇ…。悩め悩め!悩んでこそ青春よ!」
どーんと宝のお母さんは言った。
その勢いに少しおののいて、「はあ…」と、気の抜けた返事になった。
「いいわねぇ…席が近くなったりしてドキドキしたり…すれ違いざまにちょっと手があたって意識しちゃったり…」
もう、夢見る少女のようだった。
10歳くらい若返ったように思える。
ふと、宝のお母さんとお父さんの馴れ初めを聞きたくなった。
「宝のお母さんとお父さんはいつ出会ったんですか?」
あたしがそう聞くと、宝はキッと睨んできた。
口パクで「バカ」と言った。
宝のお母さんは、待ってましたとばかりにパアッと顔を明るくして目を爛々と輝かせた。
「知りたい!?知りたい!?いやーねぇ、知りたいなら早く言えばよかったのにぃ~」
これか…。
宝があたしを睨んだ理由。
確かにこれは凄いことになりそう(いろいろ)。
「お母さん、その話はまた今度でいいから!明日あたしら本番で早いんだから、早く寝たいんだってば」